昨今、価格の高騰化により、金が注目されています。
資産としての金はもちろんですが、その特異な性質により、工業用としても重宝されている材料です。
今回は、この金が電子機器や電子デバイスで使われる理由と、製品価格に与える影響について説明します。
金の工業的特性としては、第一として、高い熱伝導率と導電率です。
理論上、銀や銅には劣りますが、使用環境や経年劣化による特性劣化が極めて少ないため、微小電流を扱う電子回路や、高信頼性が求められる電子部品に用いられます。
| 特性 | 金(Au) | 銀(Ag) | 銅(Cu) |
| 色・光沢 | 特有の黄色・光沢 | 白銀色・鏡面光沢 | 赤茶色・光沢 |
| 導電率 | 62.9-63.0*10^6 S/m | 63.0-66.7*10^6 S/m | 58.1*10^6 S/m |
| 熱伝導率 | 約310〜320 W/m・K (0〜100℃) | 約420~428W/m・K (常温) | 約370~400W/m・K (常温) |
| 密度/比重 | 19.32 | 10.50 | 8.96 |
| 融点 | 1064℃ | 961.8℃ | 1085℃ |
| 硬度(Hv) | 22~70程度 | 25程度 | 80~100程度 |
| 展延性 | 非常に高い | 高い | 高い |
| 化学的安定性 | 非常に安定(錆びない) | やや不安定(硫化しやすい) | 不安定(酸化・緑青しやすい) |
第二は、耐腐食性です。金は、金属の中で最も陽イオン(電子を放出して他の物質と反応する状態)になりにくい安定した金属です。そのため、空気中や湿潤環境においても酸素や水分と反応せず、酸化や腐食がほとんど生じないという性質があります。
第三は、加工性です。金は柔らかく、延性・展性に優れ、微細加工が容易です。半導体内部のボンディングワイヤや、微細配線など、精密な加工が求められるものに適しています。また、加工ばらつきも少ないのも特長です。
これらの理由により、金は、電子デバイス内の以下のような箇所で多く使われています。
コネクタやスイッチの接点部
プリント基板の端子表面処理
半導体内部の配線(ボンディングワイヤ)
近年は、投資資産としての需要増加や世界的な経済情勢の影響を受け、金の価格は上昇傾向にあります。そのため、この価格変動は、工業用途における材料コストとして製品の単価に影響を及ぼしています。

